金トレンドライン・ブレイク:勝敗を決めるのは「時間軸」ではなく「ルックバック時間」

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ゴールド(XAU/USD)のトレンドライン・ブレイク戦略を、足を変えて検証した記録。

この戦略は何をするか(どこで入るか)

やることは1つ。2点のピボットを結んでトレンドラインを引き、終値がそのライン±バッファを抜けて確定したら、次の足の始値でドテン(反対方向に入り直す)。バッファはダマシ除けで、ATR(平均的な値動き幅)の半分。

1 2 下降レジスタンス(高値1→2) バッファ=ATR×0.5 (1) 上抜け確定(終値) (2) 次の足の始値で ロングでイン
1時間足のチャートで、直近およそ40時間(=40本)ぶんのラインを引いた想定。ショートはこの上下を反転(切り上がる安値2点=上昇サポートを終値が下抜け → 次の足の始値でショート)。

数値で見るエントリー例(ロング)

1時間足のチャートで、金が約40時間(およそ40本)のあいだに高値を 2,055ドル → 2,043ドル と切り下げた。この2点を結んだ下降ラインは、いま 2,038ドル 付近まで伸びている。

ATR(足あたりの平均変動)が 8ドル なら、バッファは ATR×0.5=4ドル。よってエントリーの閾値は 2,038+4=2,042ドル

1ある足の終値が2,042ドルを上抜けて確定したら、シグナル成立。
2その次の足の始値でロング(成り行き)。
3手仕舞いは反対側(上昇サポート)を下抜けたとき、または設定した損切り。

ショートは鏡像:安値を切り上げてきた上昇サポートを、終値が「ライン−4ドル」を下抜けて確定 → 次の足の始値でショート。

どういう場面で出るか(前提)

このシグナルは「いつでも」出るわけではない。次の条件がそろった局面でだけ線が引かれ、ブレイクが拾われる。

  • 方向性のある2点がある:高値が切り下がる2点(下降レジ)か、安値が切り上がる2点(上昇サポート)。横ばいの乱高下では線が引けない。
  • 線の傾きが急すぎない:1本あたりATR×0.3を超える角度は除外(人間が引かない角度=急騰急落の最中は見送る)。
  • 価格が線から離れすぎていない:ATR×6以上離れたら線は破棄(追いかけない)。
  • 線が新鮮:引かれてから寿命(本数)以内。古くなった線は無効。

イメージ

レンジ気味に高値を切り下げてきた金が、ある足で勢いよく下降ラインを終値で上抜けた——そこが基本のロング・トリガー。逆に、安値を切り上げてきた金が上昇サポートを終値で下抜けたらショート。要は「効いていた抵抗・支持の明確な破れ」を、ダマシ除けのバッファ込みで待つ。

検証でわかったこと

「どの時間軸が良いか」を調べるうち、もっと根っこの答えに行き着いた。効いているのは”足の種類”ではなく”トレンドラインを何時間ぶんで引くか(ルックバック時間)”だった。

1. 「足」で揃えると4時間足が勝つ … が、それは見かけ

各足とも「直近10本」で線を引くと、4時間足が最良に見える(PF 1.25)。だが10本の意味は足ごとに違う——15分足なら2.5時間、1時間足なら10時間、4時間足なら40時間ぶんの線。つまり比べていたのは足ではなく、ルックバックの長さだった。

2. ルックバックを時間で揃えると、ピークは約40時間

1時間足でルックバック(線を引く時間幅)を変えて検証すると、十分なトレード数がある範囲でのPFのピークは約40時間(およそ2日)

ルックバック トレード数 PF(利益/損失)
10時間 834 1.01
20時間 392 1.11
30時間 195 1.04
40時間 129 1.76
60時間 68 1.37

決め手は、1時間足でも4時間足でも、ピボット本数は違うのにピークは同じ「40時間」で揃ったこと。さらに前半(2011–2017)と後半(2018–2024)に分けても、両方とも40時間でピーク。過剰最適ではなく構造的なものだと確認できた。

核心:トレンドラインは「本数」ではなく「時間」で引く。ゴールドではチョップ(横ばい)相場でおよそ40時間(約2日)のルックバックが効く。そして同じルックバックなら、細かい足ほど同じ線をきれいに執行できる。

3. 強トレンド期は最適が短くなる(仮説)

直近の大相場(2024–2026)を別データで追検証すると、十分なサンプルがある範囲では約10時間の短いルックバックが効いた。「トレンドが強いほど短い線でも素直に伸びる」なら筋は通るが、期間が短く検証しきれていないので仮説どまり。最適ルックバックは一定ではなく、相場のトレンド度で動く可能性がある。

4. 「もっと長い線(120時間)の旨味」は棄却

掃引中に120時間付近でPFが跳ねる場面があったが、サンプルが薄く(30件前後)期間で倍以上ブレ、強トレンド期でも濃く出なかった。ノイズと判断

使い方と限界

実務の基準=1時間足。直近およそ 40本(=40時間≈2日) でトレンドラインを引く。これは検証で十分なサンプルがあり、PFが最も高かった組み合わせ(PF 1.76)。4時間足でも同じ40時間(10本)で機能するが1時間足に劣り、日足はサンプル過少で不可。強トレンド期は10〜20本(10〜20時間)へ短縮する余地。
  • ルックバックは固定しない。レンジ気味なら約40時間(1時間足40本)、強トレンドなら短め。相場のトレンド度に合わせる。
  • エッジの大きさはトレンド度に依存。レンジ期はPF1.0前後の素通りになる前提で運用する(無理に張らない)。
  • 限界:検証データは2011–2024中心(最も稼ぐ2008–2011・2024–2026の大相場を一部欠く)。追検証は2.4年と短く、別フィード(先物)。絶対値より相対比較として読む。

次の課題:2008–2011の大相場を継ぎ足して、「最適ルックバックの相場依存性」を仮説から検証へ引き上げる。

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